「こんな子に育てたい」という親の願いは様々ですが、社会で活躍する天才・秀才に育ってほしいと願う親は多いのではないでしょうか。そこで、お子さんを優秀に育てることに成功したお母さんの子育て体験談を集めました。

 

子供の素質も、フィットした子育ての形も様々です。書籍化される体験談はセンセーショナルな成果を出したお母さんに限られますが、メディアに顔は出さなくても、自慢の我が子を育てたお母さんの参考になる体験「ベタープラクティス」が世に出ずに眠っています。それを掘り起こすことができれば、「個性に合った子供の伸ばし方」や「優秀に育てるための共通項」を、我が子に合わせて見つける材料になりますよね。

 

第1回のお母さんはS.Mさんです。息子さんのRくんは、塾への通学なしで灘中学に合格した秀才です。子供を頼ることも成長の手助けなんだなぁ、「してあげなくちゃ」と肩張るばかりが子供のためじゃないんだなぁと心を少しほぐしてくれるお話でした。

 

基本情報

【Rくんのプロフィール】
  • 一人っ子長男
  • 灘中学校に在学中(2018年時点)
【未就学当時の家庭環境】
  • 母親の勤務状況:パートタイム
  • 世帯年収:600万以上、800万未満
  • 母親の最終学歴:中学または高校卒業

幼少期の特徴

 

天才・秀才に育つ子供は、赤ちゃん時代に特徴・兆候があるのか気になります。お子さんはどんな赤ちゃんでしたか?発達の状況や他の子と違う個性について教えてください。

赤ちゃん時代は夜泣きが酷くて、どちらかと言えば育てにくい子でした。

発語時期は1歳になるかならないかくらいの頃だったと思います。「あーうー」程度のものでしたが、私と夫を父母と認識して発していました。

2歳から保育所に入所させたのですが、迎えに行くと、よく先生から言われたのが「石橋を叩いても渡らない子」でした。とにかく心配になるくらい何事に対しても慎重すぎる子で、私もよく母に相談したものでしたが、性格でしょうとしか答えてくれなかったので、そういうものなのかなと思うようにしていました。

 

小学生時代はどうですか?

小学校に入ってからも変わらず、とにかくおとなしい子で、授業中に手を上げたことは一度もなく担任の先生も授業がわかっているのか心配になり頻繁に様子を見に行ってくださっていたようですが、ノートを見ると間違いもなく正解の答えを書いているので、懇談会の時には『積極的に手を上げるように』としか言われませんでした。先生にとっては答えがわかっているのに発表しないのがもどかしかったようですが、子供に言わせると「自分がわかってるから別に発表しなくてもいい」と淡々としたものでした。

お母さんの接し方

 

お子さんから見てどんなお母さんだったんですか?

私がどちらかといえば天然なので、子供は呆れつつもほっとけないと思っているようです。私も生活の中でわからないことがあれば、すぐに子供に聞くようにしていました。頼ってあげると、子供は一生懸命調べて解決しようとしてくれます。知識を取り入れることはその辺で培われたのかなと思っています。

接し方は、とにかく小学校を卒業するまでは甘えさせました。中学生になった今でもそばに寄って来て甘えてくることもありますが、特に気にはしていません。外ではしっかり他人のフリをしていますから。

 

テレビホンマでっか!?でも「ママに教えて」は効果的と紹介されていましたね。どんな時に頼るんですか?

5歳くらいの頃から電池の入れ方からスマホのLINEの設定の仕方までほぼ丸投げで任せていました。5歳の頃には漢字もかなり読め、わからない言葉の意味を教えてやるだけで説明書を理解していたので、家電が壊れたなどの難しい対応も子供に任せていました。例えば、パソコンの具合が悪くなると「なんでこうなったの?」から始まって、子供が説明書を読んでなんとなくわかり始めたと思ったら「じゃあ、あとは任せるね」という感じでした。

一通り説明書を読んでいじった後に「これは専門の人じゃないと無理」とあっさり諦める時もあります。その時は「やっぱり子供には無理だな~」と思ったのですが、翌日業者さんが来てもその場では直せずに「お持ち帰り」になるなど、結果として的を射た判断だったりします。

幼児期の知育・遊び

 

母乳育児でしたか?卒乳、断乳についても教えてください。(母乳で知能が高まるという学説があるので参考に)

混合でした。寝るまでは母乳で、就寝前にミルクを飲ませていました。離乳食が始まればミルクと共に与え、普通食に変わるまで続けていました。

 

絵本の読み聞かせはしましたか?特になければ読書習慣やよく接していた媒体について教えてください。

絵本の読み聞かせは特にしませんでした。その代わり、忙しい朝はNHKの子供番組を見せていました。それで歌や踊りや言葉を覚えていったように思います。

読書の習慣はありませんでしたが、漫画は私も夫も好きなので、床に置いてあるものを手に取って読んでいました。小説なども読みますが、今でも漫画の方が好きだと言っています。訳を聞くと、小説よりも漫画の方が漢字が覚えられるし、キャラクターの表情などから気持ちがダイレクトに伝わる。表情が伝われば、小説を読んだ時に、より鮮明に登場人物の心理描写が理解できるから読解力もつく、とか難しいことを言っていますが、要するにただ単に面白いからだと思います。

 

よく遊んだおもちゃや、よくしていた遊びについて教えてください。知育を狙って与えたものがあればそのおもちゃと子供の反応を教えてください。

よくよく考えればおもちゃで遊んであげた記憶はあまりないですね。パートや家事などで忙しかったので、床におもちゃの入った箱を置いて、家事の間、適当に遊ばせていました。古くなったおもちゃでも、新しいおもちゃを買い与えるまで工夫して飽きないように遊んでいました。

しっかりしているのかと思えばやたらと子供っぽいところもあって、特に人形やぬいぐるみ類は大好きな子でした。知育のおもちゃと言われるレゴブロックにはまったく興味も示さずに、ただ人形で遊んでいました。

習い事

習い事は何を何歳から始めましたか?家庭で練習するよう親が関与しましたか?

小学校3年生から2年間だけ英会話スクールのECCに通わせました。英語が初めてということもあって、幼児~小学生クラスに入れられましたが、英会話と英文を書くクラスをそれぞれ習っていたので、クラスごとに先生の教え方に違いがあって本人が「わけわからない」と言ったのでやめさせました。ただ、やめる間際に指導してくれた先生の教え方がとてもわかりやすかったようで、それが基礎になって、今でも英語は好きなようです。英語の授業は抵抗なく頭に入ってくるようで、難しい文法でもスラスラ読んでいます。学校でもそうですが、習い事も先生によって変わるものだと思いました。

学習習慣・学習法

 

公文式や学習塾、通信教育やドリルは何歳から何をやりましたか?サポート方法、勉強の促し方などの工夫について教えてください。

小学校に上がる前に、「しまじろう」を欲しがったので、こどもちゃれんじを始めました。しまじろう目当てだったのであまり勉強はしませんでした。私はおもちゃを買い与えるつもりだったので別に気にはしていませんでしたが、夫は「お金の無駄だから勉強するかしないかはっきりしろ」と怒り、勉強をするまでしまじろうを取り上げたところ、勉強するようになりました。

 

お子さんが勉強熱心になっていったきっかけや過程を教えてください。

子供は初めはしまじろうのために嫌々勉強をしていましたが、こどもちゃれんじは子供の好奇心を煽るように工夫されているので、勉強を勉強と思わずに遊びのひとつとして楽しんでいるようでした。字は読めていましたが、「書く」ということはさせていなかったので、字を書くことや数の数え方などが新鮮だったようです。ひらがながかけるようになると、カタカナ、漢数字なども書き始め、夢中になっていることが子供の表情からわかりました。

 

中学受験をしていますが、途中で塾への切り替えは行いましたか?灘中学は難問も多いと思うのですが、どのように対応したのでしょうか?

学習塾などは行かせず、こどもちゃれんじの延長で、そのまま進研ゼミの小学校講座に移行しました。高学年になってもそれは変わりませんでしたが、やはり足りない分があるようで、それは自分で本屋に行って探してきた参考書などを見て補っていましたね。

子供が中学受験を考えていることはまったく知らなかったので、勉強をどれだけやっているのかは正直気にもしていませんでした。子供部屋を作るまでは普通にリビングで、テレビを見ている私のそばで宿題をしていた程度です。でも、4年生になって子供部屋を作ってからは、ほとんど部屋に籠りきりになりました。出てくるのは食事の時くらいだけ。

小さい時からゲーム機を与えていたので、ゲームをしているとばかり思っていました。

私が部屋に入るのを嫌がるので、子供が学校に行っている時にこっそり入っていましたが、机の上には数学の解き方を書いてる本や、有名中学の過去問などが学校の教科書に紛れて何冊かありました。そして、夫の父親が建築士だったためか、建築の本などもありました。

頻繁に夫の父親に電話をしていたので、建築士を目指しているのかと思っていましたが、最近子供に聞くと、算数(数学?)で苦手なのは図形だったそうで、図形の見方がわからなくなると聞いていたそうです。今でも図形は苦手なので、それだけは苦労しているようです。

その他の工夫や反省点

 

その他、幼児期〜小学生時代の育児上の工夫があれば教えてください。

とにかく我が家は放任主義でした。子供がやりたいことをさせていただけです。興味のあることから子供は多くを学びます。漢字の書き取りの宿題は、漫画のセリフの漢字を写し書きしていたくらいです。

 

ユニークですね!楽しんで取り組むための工夫をお子さん自身で考えているのですね。他にも楽しくやれるように工夫していた様子などあれば教えてもらいたいです

算数に関しては、夫が父親譲りで得意だったので、自分が教えられる範囲までは折り紙を使って説明してました。三角を折ったら開いて、折り目に線を引いて公式めいたことを教えていました。

夫が言うには「図形の公式は中学高校行ったら解きやすいように変わるから、その公式使わないと教えられない」そうで、そんなものかと思いながら見ていましたが、それがよかったのか、中学以降の公式は他の子より早く覚えられました。(学校では授業で教えてないことはしてはいけないようで、「お父さんから教えてもらった解き方の方が簡単なのに」と、いつも不機嫌そうに宿題をしていたので、早く教えるのも良し悪しですが…)

 

親子の会話で、勉強と遊び・現実の関連付けが自然と身についていったのかな?

 

今振り返ると、もっとこうしておけばよかったと思うことはありますか?

特にはありませんが、子供が灘中学に入れるほど頭が良かったなら、もう少し習い事をさせておけばよかったかなと、今さらながら思っています。親の勝手な欲ですね。

でも、あまり関わらず、子供の好きにさせようかと思っています。

幼児期の育児で大切なこと(まとめ)

 

幼児期の育児で一番大切なことはなんだと思いますか?

今思えば私が天然だったことがよかったのかなと思っています。親がしっかりし過ぎていると、子供は頼ってしまいます。勉強をしろとうるさく言っていたらしなかったと思います。親はあまり賢くない方がいいのかもしれません。

また、テレビや漫画を敬遠する親御さんは多いと思いますが、うちの子はテレビと漫画とおもちゃに教育されたようなものです。だから、勉強に不要なものだと排除するのはやめて、子供が興味をもったものはなんでも必要なものだと思って与えてあげたらどうでしょうか。好奇心と興味が子供を育てるのだと思います。

 

ありがとうございました!

 

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